なぜ6月の新馬戦で素質馬がデビューするのか

ケイアイノーテックがNHKマイルカップを優勝しました。
本馬にはこれまで福永騎手や川田騎手、戸崎騎手などの一流騎手が乗っていたのにもかかわらず、NHKマイルカップではお世辞にも一流騎手とはいえない藤岡騎手へ乗り替わり。この馬への期待はその程度なのかとレースでは全く期待しておりませんでした…(失礼)
これで中央のG1勝ちジョッキーの仲間入りを果たし、藤岡騎手も一流騎手の仲間入りですね。

ちなみに、ケイアイノーテックは6月の新馬戦(阪神芝1600m)でデビューしていた馬でした。
個人的に某所のPOGで指名しているのですが、指名した理由は「6月の新馬戦でデビューしている(さらに言うとドラフト時期の都合上、本馬が既に新馬戦を勝利したことが分かっていた)」というものだけでした。イスラボニータやレッドリヴェールなど6月に行われた芝1600m以上の新馬戦で見どころのあるレースをしていた馬は2歳戦の早い時期だけ活躍する所謂早熟馬ではなく、春までいいレース見せてくれる馬が多い気がするなあと。ただ、その時はなんとなく「6月にデビューしている馬は後々クラシック戦線で活躍することが多い気がする」とぼんやりと思っていただけなので、ダービーの翌週から新馬戦が行われるようになってから6年が経ち今年で7年目になりますが、過去に6月の東京・阪神芝1600mもしくは芝1800mの新馬戦に出走していた馬でその後3歳春のクラシック期間における重賞やG1で活躍した馬はどれほどいたのか、あらためて調べてみました。
※手集計なので漏れあるかもしれません。

▼総出走頭数…その年の該当月に行われた東京・阪神(10月は京都)開催における芝1600m以上の新馬戦に出走した馬の総頭数
▼主な活躍馬…その年の春クラシック路線における重賞3着以上の実績馬
▼活躍馬率…主な活躍馬÷総出走頭数

2012年
総出走頭数:53頭
主な活躍馬:マイネルホウオウ、ザラストロ
活躍馬率:3.7%

2013年
送出走頭数:84頭
主な活躍馬:イスラボニータ、レッドリヴェール、マイネルフロスト、リラヴァティ(新馬戦2着)
活躍馬率:4.8%

2014年
総出走頭数:108頭
主な活躍馬:ブライトエンブレム、アヴニールマルシェ
活躍馬率:1.9%

2015年
総出走頭数:102頭
主な活躍馬:ロードクエスト、メジャーエンブレム、ビービーバーレル(新馬戦2着)、ブレイブスマッシュ(新馬戦2着)、ウインファビラス(新馬戦3着)
活躍馬率:4.9%

2016年
総出走頭数:117頭
主な活躍馬:ウインブライト(新馬戦6着)
活躍馬率:0.9%

2017年
総出走頭数:102頭
主な活躍馬:ダノンプレミアム、ケイアイノーテック、ステルヴィオ
活躍馬率:2.9%

こうやって見ると、出走頭数の割に活躍馬の数が少ない気がしますね…。
では、比較として素質馬が多くデビューしていそうな秋の10月東京・京都開催はどうでしょうか。こちらも気になったので調べてみました。※こちらも手集計なので漏れあるかもしれません。

2012年
総出走頭数:156頭
主な活躍馬:キズナ、エピファネイア、レッドセシリア、ヒラボクディープ
活躍馬率:2.5%

2013年
総出走頭数:153頭
主な活躍馬:ヌーヴォレコルト(新馬戦4着)、トーセンスターダム
活躍馬率:1.3%

2014年
総出走頭数:179頭
主な活躍馬:ドゥラメンテ(新馬戦2着)、サトノクラウン、ベルーフ、キャットコイン
活躍馬率:2.2%

2015年
総出走頭数:147頭
主な活躍馬:マカヒキ、シンハライト、マウントロブソン(新馬戦2着)
活躍馬率:2.0%

2016年
総出走頭数:200頭
主な活躍馬:レイデオロ、アルアイン、ベストアプローチ
活躍馬率:1.5%

2017年
総出走頭数:195頭
主な活躍馬:エポカドーロ、カツジ、グレイル、リリーノーブル、レッドヴェイロン
活躍馬率:2.5%

調べてみてびっくりしました。過去6年のダービー馬6頭中4頭が10月に東京・京都で行われた新馬戦でデビューしていたのですね。やっぱり素質馬は秋の東京・京都開催デビューですわ!6月の新馬戦なんていらなかったんや!

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さて、のちのダービー馬が10月にデビューしていることが多いということは分かりました。でも、POGはダービーを勝つ馬を当てるだけのゲームではありません。皐月賞や桜花賞、G1を勝たなくとも重賞馬を複数頭指名し総合的にポイント稼ぎ少しでも順位を上げられてば良いわけです。そんなPOG的な視点ではどうでしょうか。

秋の東京・京都開催デビューを見据えている馬は、POG本などでは「秋デビュー予定」と紹介されていることが多いです。しかしながら、その時点で入厩していたり、早い時計で調教を進めているという馬は稀なはず。つまり、本当に秋にデビューするのかどうか、競走馬として無事にデビューできる状態まで進められているのか明確ではない。もしかしたら何か脚元に不安があって調教のペースが上がってこないのかもしれませんし、内面的に弱い所があってデビュー予定を延ばさざるを得ないのかもしれません。そういったネガティブな情報が表立って出てこないのがこの業界の悪い所でもあります。それらを含めて「秋デビュー予定」と言われている可能性を考慮すべきでしょう。

対照的なのが6月の新馬戦でデビューを迎えようとしている馬たち。順調に調教を進められているから6月に競馬場で走ることが出来るのであり、6月にデビューができるということが心身ともに健康であるという証明。実はこれが競走馬の資質としてかなり重要なのは言うまでもないですよね。体が確りしていないことには調教が積めないですし、レースを繰り返し使うことも儘成りません。逆説的ですが、6月にデビューしてゴールまで確り走り切れる(そしてある程度の結果を残せる)ということは素晴らしい資質の一つなのだと思います。

加えて動きが見えている早期デビュー馬たちには、秋デビュー予定とされている馬たちと比べ、より鮮度の高い情報がその馬たちに向けられていることが多いです。

まず調教時計。主に坂路時計にはなりますが、デビュー前の2歳馬がどのような時計を出しているかはtargetなどのツールで把握することが可能です。時計だけでもその馬の能力水準がある程度は把握できますよね。入厩しているもののなかなか時計が詰まってこない馬などはそれだけでPOGの指名リストからオミットしてもいいかもしれませんね。

次に調教映像。近年はJRAレーシングビュワーがデビュー前2歳馬の調教映像を多く提供してくれています。昔は新馬戦前の数頭だけだったのが、今はデビュー数週間前から何頭もの映像を見ることが出来ます。これを活用しない手はありません。自分もPOG馬を検討する期間だけレーシングビュワーを契約しますよ。けっしてJRAの回し者ではありません。1か月しか契約しませんからね!
調教映像と言っても馬の見方よくわからないし~という方。実はよく分からない方こそ、デビュー前の新馬調教を見ていただきたいです。たとえば陸上短距離100mのオリンピック決勝。これを走ってる選手たちってみんな素晴らしいフォームで走るじゃないですか。ここで走っている選手たちの微細な違い良し悪しなんて全く分からないですよね。

そのオリンピック決勝、いや予選でもいいです。そこに運動神経悪い芸人でおなじみのフルーツポンチ村上みたいな走り方をする選手がいたらどうでしょうか?陸上に詳しくない人でも明らかにその違いは分かると思います。それが新馬戦の追い切り映像なのです。つまり、ある程度の能力水準を持っている馬と、将来勝ち上がりも厳しいであろう馬の違いは走り方・フォームを見れば明らかに違うということです。同じような時計でもゆったりとスムーズに走れている馬とドタバタとしていたり、フォームはまともだけどまったく速力感が無い馬などこの時期の追い切り映像はPOG情報の宝庫です。G1前の追い切り映像なんて見てもみんなG1に出走できるレベルまで勝ち上がってきた馬たちなのですからそりゃ素晴らしいに決まっています。フルポン村上を見たいなら新馬戦の調教映像です。それがレーシングビュワーなら1か月なんと500円……しつこいですね。

あとは取材の情報でしょうか。POG本に掲載されているのはたいてい牧場関係者のコメントですが、POG本を毎年復習されている方はお分かりの通り、牧場関係者のコメントほどアテにならないものはありません。と言っても、牧場の方々が嘘を言っているわけでもありません。牧場あるいは外厩からトレセンに入って環境が変わりよりハードなトレーニングが積まれていく過程の方が、より競馬場で走る姿の近い形に変わっているはずですから「情報の確度が高い」という話ですね。最近はネット系の競馬メディアやブログ、一口クラブで会員向けに情報がクローズドになっていないサイトなどから手軽に2歳馬の情報が手に入ります。活かさない手はないでしょう。

これらの情報等をうまく活用することで活躍馬率を高めることが10月より容易いのが6月にデビューを予定している馬たちということです。

先のデータで2017年の活躍馬率は6月デビューが2.9%、10月デビューが2.5%と大差無い数値でしたが、調教データや映像、取材の情報などでその割合を高めることが可能ですよね。例えば6月デビュー予定100頭いるとして、期間中ほぼ2勝馬が出ないミ〇ファームの馬をリストから外し、調教時計で2週連続終い13.8(数字はあくまで一例です)切っていない馬を外し、情報を活用することで、活躍馬率を何倍にも高めることができるのです。10月デビュー予定の馬ではこの作業が不可能ですから、勝ち上がりが厳しいような馬を選択してしまう可能性を下げ、ヒットの確率を上げることができるのが6月デビュー予定馬という訳ですね。最初からホームランを狙うのではなく、ヒットの延長線上がホームランなんだと有名野球選手も言っておられます。

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このようなことを、最強のPOG青本などに寄稿しているPOG鑑定士こと北村生氏から学びました。18年度版の青本にも記事を書かれているようですから、まだ青本を手に取られていない方は是非。自分はまだ読んでないので、これから書店で立ち読みしようかと思っています。

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2018 弥生賞

3月になり春らしい気温になってきました。
中山競馬場の早咲き桜も色付き、クラシックがもう目の前までやってきているんだなと感じた次第です。

さて、先日行われたクラシック前哨戦の弥生賞を見てきましたので備忘録的に。

まずパドックを見ての感想ですが、世代のピラミッドにおけるトップと下の方にいる馬はやっぱり一目みただけで分かるほど明らかに差があるなぁということです。将来のG1馬と未勝利馬が一緒に走る新馬戦ならこのような光景がたまに見られますが、重賞でもこういうパドックが見られるのですね。新鮮な光景を見せてくれた森調教師には敬意を表したいと思います。

勝ったダノンプレミアムは柔らかみがあり腰の位置が高く比較的骨量豊富なディープインパクト産駒。しかしながら体の形成も進んでいて「なるほど2歳王者に相応しい馬だな」と思わせてくれる素晴らしい馬でした。スタートから前進気勢溢れる走りを見て分かる通り、背中がやや短く股関節も硬いので距離はあまり持たないタイプではないでしょうかね。今後に向けてどのように馬が変わってくるか注目です。

2着のワグネリアンもディープインパクト産駒ですがこちらは管が細く小柄。厳密にいうと違うのですが、ワールドエースのようなタイプというと分かりやすいでしょうか。元々細身なので筋肉はさほど付いてくるような骨格には見えませんが、それにしてもまだまだこれからの馬かなあといった印象でした。皐月賞よりかはダービー、その先々が楽しみな馬かもしれませんね。

3着のジャンダルムはバランスの良い馬で体型に変なクセが無いのが特徴。立ち回りの良さと仕上がりの早さで他を上回っているという感じがするので、今後は心肺面に磨きが掛かれば上の相手にも食らいついていけるようなレースが出来てくるのかもしれません。

人気だったディープインパクト産駒3頭の一頭、オブセッションは4コーナーで待避所の方に行こうとしてしまったそうで7着に。四肢が長く見栄えのする “藤沢厩舎らしい” 体型。ただその分仕上がりは進んでおらずここまで素質だけで走ってきたのが良く分かるようなパドックでしたね。おそらく心身ともにまだまだこれからの馬だと思うので、これから鍛錬されて成長が見られればという印象。

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スタートから他馬についていけず、鞍上の叱咤激励にこたえながら2000mを走りきったヘヴィータンク。9着馬から大きく離れてゴールを迎えた時にぱらぱらと拍手が聞こえてきました。
勝者だけが生き残り、称賛される厳しい世界で、結果に関わらずゴールまで頑張ったことが称賛された優しい空間が存在していました。

 

 

 

 

 

 

引退

安室奈美恵さんが来年、芸能界を引退するようですね。
自分は”アムラー”世代より少し下なので当時の熱狂っぷりはテレビを通じて何となく記憶に残っている程度ですが、世間に多大な影響を与えたアーティストの引退を惜しむ声が多いようです。

そんな中、まったく競馬界に影響を与えなかったであろうレッドジュラーレという馬の引退も表明されました。
ハービンジャー産駒はとにかく緩さが解消されない馬が多くかつ骨量筋肉量共に無駄に豊富になりがちで、本馬もその例に漏れず欠点が解消されないまま競走生活の終わりを迎えてしまいました。

一口出資する決め手となったのが1歳12月頃に公開された動画です。その時に「ハービンジャーらしくない軽さがある」と感じ、これがレッドジュラーレ当時イタリアンレッド14の長所で、サイズも小柄でさほど大きくならなそうだったためこれなら欠点がさほど体現して来ないのではないかと思っていたのですが、月日と共にしっかりとご成長なされ気が付けば500キロ弱近くまで体重が増えていた時期もありました。
もともと、母イタリアンレッドも牝馬としてはやや大きめのサイズでしたしそこに骨量豊富なハービンジャーとくれば、イタリアンレッド14もこの程度のサイズまで成長するのは血を読み解けば妥当だったのかもしれません。ここが新種牡馬の難しさというか、想像力不足で自分が考えていた以上にイタリアンレッド14という馬は父の影響力が大きかったということでしょう。頭を高くしトモが下がって走っているところを見る限り、3歳夏に芝の未勝利戦が終わるというルールもこの馬には厳しかったようです。

馬券や一口出資、競馬が人々を惹きつける所以のひとつに、未来に思いを馳せられるところが挙げられると思います。数分後の結果を楽しむのが馬券、とある馬の数年後の姿にわくわくするのが一口出資、というように。自分は競馬のそのような所が好きでレッドジュラーレにも楽しませてもらいました。今後は繁殖に上がるとのことで、いつの日か馬柱に母レッドジュラーレと記された馬が走っている姿が見られたらなと思います。