馬体論が「型」である場合、それはあくまで「型」であるという話

おおよその馬体論やそれに準ずる話は、決してそれが全て馬の能力を保証するようなものではありません。ある意味「型」であり、全ての馬に共通した定規のようなものではありません。そうした馬体論はあくまで一方を見るための手段であり目的となってはならないと思います。

目的は「早く走ること」であって「早く走るためにはどうあるべきか」を考えるべきで、「〇〇筋が発達しているから早く走れるはずだ」というのは馬体論が目的となっています。

走るという動作においても型があります。
四肢を交互に着地させ足を運び地面をけるという型が馬が走るという目的を達成するために必要な手段とします。その中で、より早く走るためにはどうすればいいかという型があるといったわけですね。

推進力を生む筋肉は大きいほうが良い、推進力をスムーズに前方に伝えるために背中や体幹はシッカリしていた方が良い、肩が窮屈だと前脚が出ないから関節が柔らかい方がいい、などなど。早く走るとされる馬に求められる「あるべき論」つまり「型」は多岐に渡りますが、そういった良いとされる型を何も考えず適用するのではなく、まずはその馬にあった「型」つまり、その馬の体型や骨格にあった「早く走るための型」を見出していってあげる必要があるのではないでしょうか。そのために必要なことは、その型が「なぜその型がいいのか」「なぜその型だと早く走れるのか」といったような本質的な部分を理解する必要があると思います。

そうやって見ていくと、型に合わない差分とも言える型が登場することがあります。そうしたときに、型に当てはまらない、例外だという結論に陥りがちです。

型はあくまで「型」なので、型のみを理解していると時代とともに変化してきた「ズレ」に気がつくことが難しいと思います。ただ、「型」の背景や本質的な部分を理解していれば、型のアップデートを行うことができ、新たな「型」へと昇華出来るのではないでしょうか。

隅田川POG2019 指名馬理由など

毎度おなじみ隅田川POGのドラフトが今年も行われましたので指名理由などをば。
▼ルール
関東馬限定
既走馬指名不可

 

1位 母アートプリンセス 父ハーツクライ
馬名:ミッキープリンス 国枝厩舎

関東馬限定だと国枝厩舎は人気なので早めの指名。とはいえPOG本などで露出が少なかった?かもしれないのでこの順位でなくともよかったかもしれない。写真見てないのでどんな馬か分かりません。入厩済。

 

2位 母コマーサント 父ダイワメジャー
馬名:ダイワリチャード 上原厩舎

そろそろダイワメジャーの後継種牡馬が欲しいと思ってセレクトセールで買われた(はず)、ダイワメジャー産駒の当たり年と言われている世代の当たり馬(のはず) 入厩済。

 

3位 母スピードリッパー 父ロードカナロア
馬名:エストロ 萩原厩舎

母が好きだったので指名。写真からはこれと言って特徴のない馬体に見えますが、アーモンドアイも立ち写真だと凄くいい馬という感じではないのでカナロア牝馬はこういう馬がいいのでは?という仮説。運動神経があれば。入厩済。

 

4位 母ハートフルデイズ 父ハービンジャー
馬名:インテリジェンス 菊沢厩舎

スイートピーS勝ったジェラシーの全妹なので…と思っていたのですが、良く見たらジェラシーは母グローリアスデイズ(ハートフルデイズの母)でした。

 

5位 母ライラプス 父エピファネイア
馬名:シアンフィデール 田村厩舎

エピファネイアは何となくダート馬が多そうな予感がしたので、晩年ダートを走っていたライラプスとの仔を指名。入厩済。

 

6位 母ジェダイト 父タートルボウル
馬名:ユークレース 菊沢厩舎

母ジェダイトのラストクロップ。菊沢厩舎は王道サンデーよりマイナー種牡馬の方が活躍馬が多い気がしたのでタートルボウルがむしろいい。ゲート試験合格済。

 

7位 母エリドゥバビロン 競合ハズレ
→母チューニー 父キングカメハメハ
馬名:トロワシャルム 鹿戸厩舎

ここまで指名したスピードリッパー、ライラプス、ジェダイトと「牝馬クラシック路線には乗ったけど一流ではなかった」馬だったのでその流れでチューニーの仔を指名。セレクト上場時の写真を見る限り、芝向きではありそうですが脚が早いかは不明。入厩済。

 

8位 母ウィラビーオーサム 父ハーツクライ
馬名:シンプルゲーム 黒岩厩舎

母ウィラビーオーサムは米G1を制したミスプロ系でいかにもディープつけるために連れてきましたという顔をしている繁殖。兄オーサムミッション(父ディープインパクト)はクラブ募集馬も本馬は吉田和美氏名義。そう考えると何か瑕疵があったと見るべきか…。いや、無駄なことは考えなくても良い。だって名前がシンプルゲームですから。入厩済。

 

▼まとめ
今年はシンプルに「ノーザンファーム生産(天栄育成)かつ入厩済(ゲート試験合格済)」というフィルターでチョイスしていき、社台ファーム生産馬で塩を振って味を整えたというリストからのラインナップになりました。ダービールールなのにディープインパクト産駒がおらずなめた指名馬感満載ですが、関東の大物は既に6月の府中でデビューしてしまっていた気がしたので、見えている所で確実に出塁していくというスタイルで目指せ5000ポイントくらいということで。

大切なことは全部、JRAの経営基本方針に書いてあった

今週末行われる国際招待レースのジャパンカップ。
国際レースとは名ばかりで、近年は海外から一流クラスの出走、頭数も揃わず賞金だけが高額となったレース、という寂しいG1競走になってしまっています。

ただこれは、「他国で開催されてる国際競走との開催時期バッティング」や「日本馬のレベルアップ」などの理由もあり、時代と共に国際レースが名ばかりとなものとなってしまっていったのは仕方ないこと。特に「日本馬のレベルアップ」に関しては、ジャパンカップが創設された理由のひとつ「海外に通用する馬づくり」における番組改革の結果だと思うので、強い日本馬のホームにまでわざわざ出向いて走らせたくないよ~という海外陣営の心の叫びが少ない出走頭数に表れているのだろうと勝手な解釈です。むしろ歓迎すべきことでもありますよね。

馬が強くなると競馬の質もレベルアップするのは言うまでもありません。手前の競馬学校だけでは十分に騎手が育たないので、地方競馬で成績を残している一流騎手に免許を与え、それでも足りなくなったら海外で成績を残している騎手へ免許を付与。
馬の質に見合った騎手を配することでコンテンツとしての質を高めていき、観客へより魅力的な競馬を見せようと努力してきたのが今日の競馬なんでしょう。

日本の競馬はおおよそ馬券の売り上げで成り立っており、競馬が馬券=ギャンブルとして成り立つにはギャンブルとして魅力的でなければなりませんから、賭け事としてどうやったらより多くの人を惹き付けられるか(=売上)、魅力的なものであるかを追求していくべきで、JRAが企業として、ビジネスとして試行錯誤してきた道が今日に続いているのだと思います。

【JRA】条件付きで3連続9着以下への出走制限 2019年度競馬番組等について発表 | 競馬ニュース – netkeiba.com http://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=147012

このニュースにも「より能力の拮抗した馬による競走を提供する等の観点から」とある通り、JRAは今後もお客様に魅力的な賭け事を提供するために様々な改革や取り組みを推進してくれることでしょう。ああなんと素晴らしい企業なのでしょうか! 余りにも素晴らしいので久しぶりにJRAのホームページを見、企業情報のページから経営方針を確認してみると「私たちは、お客様を第一に、皆様にご満足いただけるよう取り組んでいきます。」と書いてありました。一昔前に某馬主さんが言い放ったとされる言葉を借りると「馬はええ、お客様はどうなってるんじゃ!!」という感じでしょうか。多分違いますね。

少し話が反れそうになったので戻しますが、JRAは競馬をギャンブルビジネスとして成熟させていきたいと考えているのではないかというのをここ数年思うようになりました。自分が競馬を見始めた頃‐ちょうどディープインパクトがはしっていた頃‐から数年はそんな意識など全くせずに競馬を見ていたので、明確に何かが契機となったのかは分かりません。そもそもなぜ競馬が存在していたのかを知っていたわけでも無いので、そのように考えるようになった理由もわかりません。ただ、近年そして今日の施策からそれはもう明らかですね。ビジネスとして合理性を求めるからには、相反する非合理的なものはどうしても排除されてゆく運命にあると思ってます。かの国で行われている「競馬」も、JRAが主催者として行われている「競馬」もどちらも同じ「競馬」ですが、競馬が行われている前提を、われわれお客様はまず理解した方がよいのではないかなあと。

もし、JRAが開催する競馬に「文化」を求めているのならば、暫くは無駄なことなんだと思います。だってさっきの経営方針に「そして未来へ 私たちは、歴史と伝統のある競馬の発展に努め、国際的なスポーツエンターテインメントとしての競馬を皆様とともに創造していきます。」と書いてありますから。そういった競馬の文化的な発展は「未来に」やるよん、今はビジネスだよん、と。いつからこの経営方針なのかは知りませんけどね。

なんでこんなこと書いているかと言うと、この頃各所で『ものがたり』が重要視されるようなことが多いみたいな記事とか見たり話しを聞いたりすることが多いので、特にレジャー産業である競馬も例外に漏れず、なのかなあとか思ったりしていたのですが、なんだか物語的な要素が置いてけぼりになっている気がしたので。そもそも「ギャンブルビジネスの競馬における物語とは」という話なんですが、そろそろ時間無いので今日はここまでにしておきます。