サラブレッドの小型化による競馬の変革

去年の社台サンデーのカタログにやたらとサラブレッドの小型化云々~といった文言があって、確かにディープインパクトやステイゴールドの登場で彼ら(もっと言うとサンデーサイレンス)の血を引くその産駒たちが比較的小ぶりであることは納得できる、でも小柄な馬はドリームジャーニーのような余程の異端児でなければやはり肉体的により大きな馬(とくに古馬になってからは)に劣ってしまうのではないかと思っていました。

ただ近年の競馬を見てるとそういった馬体に対する価値観を考え直さなければいけない、競馬の変革期みたいな時期になってきているのではないかと思ったりします。

もう馬場はあまり荒れない


そうなった大きな要因は、まず「馬場」でしょう。
エクイターフなどの導入により一昔前より芝の維持が容易になり、競馬を行っても路盤が確り維持されることでパワーがあまり必要とされません。路盤が維持されることで求められるのは実直に走り続けられるタフネスではなく、弾くようなバネ。ロンシャンでディープインパクトが飛べなかったのはもう10年前の話で、そのような競馬の違いは前提にあるにせよ芝質の改善でよりそれが顕著になってきているように思います。

競馬のスピード化


さらに、これは馬場が良くなってきたと関連していることだと思いますが、競馬のスピード化により決着タイムが速くなってきているのも、サラブレッドの小型化を助長しているのではないでしょうか。時計が速くなってきたら、より体が大きく筋肉質な馬の方がスピードが出せそうなので有利にみえるのですが、おそらく近年のスピード化はそのもう一歩先まで進化しているのだと思います。昔はスタミナばかり優れた馬が多かったからマル外全盛期のように外国産の筋骨隆々の馬のスピードで競馬が圧倒できた。ところが近年は馬場が改良され路盤が維持されることでよりスピードが求められ、単純なスピードだけでなくその維持も求められるよりハイレベルな競馬へと変貌しつつあるのです。日本の競馬のレベルが上がったと言われるようになった所以でしょう。そういった競馬では、より少ないエネルギーで走れる最低限の筋肉のみ備えた馬の方が有利ですからね。

育成・調教技術の進歩


小さな馬が大きな馬に勝つためにはどうしたらよいでしょうか。
生まれ持った骨格や体の大きさを後天的に変えることは出来ませんが、その体をどのように使うかコントロールすることは出来ますよね。ノーザンファームのディープインパクト産駒が良く走るのは、このあたりの”小さいからだをどう大きく使うか”という育成技術に優れているから素晴らしい成績を残しているのだと確信しています。募集カタログなどに「現在のトレンドは小さい体を大きく使う流れ」などと書いてある辺り、そのような馬に対する育成法を熟知しているとしか思えないのです。自分はその道に詳しくはないのでどんなことをやっているのかは分かりませんが、そういった小さい馬のからだをいかに遠くへ飛ばすか伸ばすかという育成・調教技術などのノウハウが蓄積され、それらが効果的に機能しているのが近年の状況にマッチしているではないでしょうか。

軽いほうが怪我をしない


言うまでもなく上体が軽い方が脚に対する負荷が少ないので怪我が少なくなります。馬場が良くなって育成調教技術が向上したことでスピード化に耐えうるだけの肉体が求められますが、いくら調教法や医学が進歩しても、サラブレッド自体の腱や骨がより頑丈にならなければあまり意味がありません。しかしながら、サラブレッドの腱や脚の骨が一昔前と比べて丈夫になったということは無いようで、その点においてはまだまだ進化の余地を残しているといった所でしょうが、だからこそ上体を軽くするという進化が選択されていってるのではないかとも考えられます

短距離馬は…


ところで、よりスピードが求められる短距離界は筋肉量がある見た目に大きな馬の方が有利である状況は続く…はずなのですが、ヨーロッパやオーストラリアの短距離界で活躍馬を多く輩出しているデインヒル系が日本の短距離界で優勢にならないのはどういうことでしょうか。まあ、デインヒル系は小回りが利かないなんて理由も考えられそうですが、日本の短距離界にデインヒル系が入り込めないのはこれまた馬場とスピード化による競馬の質の変化でしょう。競馬の質が変化したことで「軽い芝向き(構造としての軽さを求められる)だけどスプリンターとしてのスピードは求められる」という芝の中長距離以上に特異な条件へと日本の短距離界は変貌を遂げました。

過去からの流れを考えても近年が競馬の変革期であることは間違いないと思います。
レースの予想も未来予測ですが、日本で行われる競馬がどういう競馬になっていってそこで活躍する馬はどういう馬なのかというのを予想するのも面白いですよね。

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