競走馬の馬体を評価する個人的指標のまとめ 肩篇

天高く馬肥ゆる秋。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

実はこの「天高く馬肥ゆる秋」という故事、空がスッキリと遠く高く見える秋は収穫の時期で馬も太りますわな~という意味だけではなく、「成長して遊牧民族の弓部隊が強くなるよ」という記述がセットになったもので、天が高く見える秋は、馬が強くなった遊牧民族が攻めてくるから気を付けようという警戒を意味した言葉なのだそうです。

冬に極寒となるモンゴルの地で過ごしている遊牧民の馬たちは、気温が下がると食料となる草が不足し痩せこけてしまいます。それが春になり夏を迎えると青々と茂った草をたくさん食べることができ、そこから力を取り戻し体が大きくなった馬に乗った遊牧民が秋になったら中国に攻めてくるんですね。

そう考えると、外厩全盛の現代日本競馬。多くの馬がいわゆる「夏休み」を関東あるいは関西近郊の外厩施設で過ごすことが多いようですが、「天高く馬肥ゆる秋」となるためにはやはり雄大な放牧地で青草を食べ自然の力を蓄えた方が…と思ったのですが、栄養満点の青草を食べなくとも科学的に研究された栄養価が高くバランスの摂れたものが与えられているでしょうし確りとトレーニングもされていて、最近はもっぱら「外厩帰り」の馬が勝ちまくってる時代ですから、天高く馬肥ゆる秋は外厩帰りで強くなった馬に(馬券的に)より気を付けようということでしょうかね。

肩について


さて、話がだいぶそれましたが、今日は肩についてです。
春活躍したディーマジェスティやマリアライト、そして春の天皇賞は惨敗したものの復帰戦をキッチリと制したゴールドアクターを、「走り方がイイなあ~」と思ってじっくり見てたんですが、共通点として頭が(決して低すぎるということは無く)しっかり下がり膝が前に出て前肢と頭の動作リズムがほぼ一定なんですよね。
なので、走りにおける肩の役割はある程度理解していたつもりですが、今一度見つめ直してみることにしました。

肩甲骨を中心とした前肢の動き


ここで前肢の動きについて考えてみます。
馬が前肢を動かそうとするときは肢のみを動かしているのではなく、動作の始動は肩から始まります。その一連の動作をまとめてみました。
(走る馬 ハイスピードカメラより)
肩甲骨

前肢は肩甲骨を中心に動作が行われますが、その動きに欠かせないのが付近の筋肉や関節というのは上記図をご覧いただければ明らかです。前肢の可動域が確保されてスムーズに行えるから、無駄な動作が生じたり動作が限られるということが無いんですね。

スムーズな動きこそ速さに繋がる


先ほどの動作を意識してディーマジェスティなどの走りを見てみてください。肩の動きがなめらかで前肢の動作がスムーズに見えます。この動きを支えるには強靭な筋肉があるからこそだと思われがちですが、決してその筋肉は肥大し硬直したものではありません。その馬の骨格や体型に応じて”適切な”筋肉が付いているだけです。動作を支えるのに最低限の筋肉量が備わっていないのはもちろんダメですが、過剰にありすぎても滑らかさを阻害してしまうんですね。

つり合いを考える


馬体解説でよく言われる、「肩が寝ている馬は長距離向き」「肩が立っている馬は短距離向き」というもの。
これは先ほどの図で考えたらお分かりいただけるでしょう。ただ、考える必要があるのはそれだけでなく骨格や後躯つまりトモとのバランスも大事ではないかということです。例えば胴が詰まってトモの筋肉が大きく関節は硬い短距離馬のような体型をしているのに肩が寝ていて関節が柔軟で前肢の可動域が広い(広く見える)馬。これでは、トモは「速い動きをしたい!!」と言っているのに対し前肢は「ゆっくり動きたい!」と言っていてケンカになってしまいます。つまり、馬体のつり合いが取れていないという状態で前後アンバランス。前後躯の連動が上手くいかなそうですよね。逆も然りで肩(前躯)は立派なのにトモが緩慢な馬。前躯ばかりを使って走ってしまい前後筋肉のバランスが悪くなるだけでなく、より前肢に負担が掛かってしまいそうです。

先ほど名前を挙げた馬たちも、肩の造りが素晴らしいというのはもちろんのこと、全体を通して見た時に肩と胴回りやトモ、クビの長さや頭部などのバランス・均整が取れていて素晴らしいと考えるべきで、だから無駄のない効率的な走りが出来てるんだなあと。

馬場改良などや競走馬の進歩で決着時計が速くなりつつある今の競馬では、どうしたら速く動けるかではなく、どうしたら効率よく動ける(走れる)かがゴールへの近道なんじゃないかと思うことが多いです。

【このシリーズの以前の記事はこちら】
競走馬の馬体を評価する個人的指標のまとめ 頸篇
競走馬の馬体を評価する個人的指標のまとめ 背中篇
競走馬の馬体を評価する個人的指標のまとめ 筋肉篇
競走馬の馬体を評価する個人的指標のまとめ 飛節篇

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競走馬の馬体を評価する個人的指標のまとめ 肩篇」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: さいきんの競馬 あれこれ – ローランの歌

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